東北遠征ーー月山・鳥海山

 この冬は山スキー山行を計画している。

 そのための下見山行として月山と鳥海山を計画した。

 また、秋田県連との会談も予定されていたため、4日間フルに登るのではなく、余裕のある行程となった。

 まず、19日。2時起き3時発、8時半発の参篭所から神社行きのバスに間に合う。200円のバスで約30分の車道歩きをカットして、登山道へ。8時半というのは登山の出発としてはとても遅い。私たちとしては、居心地の悪いくらいの遅い時間なので、自然とペースが早くなってしまう。しかも、リフトからのルートが合流してくると、とたんに人が増え、なかには学校だか子供会だかの行事で、子供を大勢連れた集団がいる。この集団は、COVID-19感染予防で登山団体の出している「会話を控えて距離をとって登りましょう」という呼びかけなんか全くの無視で、私たちの後ろからギャアギャア騒ぎながらついてくる。いや、正確にはついてこようと必死だったようだ。見るからに母親よりも年上のオバサン(私)が歩いているので、ついていけないはずがないと思っていたようだ。あまりにうるさいのと、コロナが心配なので、こちらもペースを落さなかったら胸突き八丁の半ばで離れていった。こんなのはマナー違反だから、引率の先生だかなんだかの指導者がやめさせるべきなのに、子供と一緒になってついてこようとするも力尽きていた。オバサンをなめたらアカン。

 山頂は風が強く、展望もなく、タッチして終わり。すぐ下山。山スキーでもう一度ゆっくり登ってこよう、と心に誓う。

 登りも月光坂が滑るので嫌だったが、下降も慎重に下る。15時前には下山したものの、行きに乗ったバスの時間がわからなかったので、車道歩きとなる。途中、ショートカットかと思って入り込んだ脇道がとんでもない修行参道だったので、登り返し。

 意外と早く降りられたので、参篭所に今晩のキャンセルがないか聞いてみたらと相方が言うのだが、鳥海山方面に移動しながら道の駅での車中泊を選択した。

 話が前後するが、初日は参篭所に泊りたかったのだが、満室とのことで予約が取れなかった。周辺の民宿も考えたのだが、いまいちピンとこない。最悪車中泊は折り込み済みだったので、その選択となった。ちなみに二日目は鳥海山登山口の鉾立山荘で、三日目は大平山荘の予約は取れている。だから、初日だけ我慢すればあとは楽々。

 道の駅の前に、アポン西浜という日帰り温泉でキレイさっぱり、フラット鳥海と言う道の駅に車を停め、ビールやコンビニ惣菜で夕飯をすませ、ぐっすり眠る。 

 二日目はお昼から秋田県連との会談が控えていたので、午前中を酒田観光にした。

 朝6時前に起きて、酒田案内のパンフレットで朝食どころを探すと、海鮮丼屋とびしまという、港の店が目についた。7時からなので急いで移動。7時10分に着いたが、すでに長蛇の列となっていた。列ができるのはもちろん「安くて美味しい」から。私たちは朝定食(500円)とヘルシー丼(650円)にふぐポン酢(380円)を追加して、最初の100名限定の温泉卵もゲット。満足度120パーセントの朝ごはんで一日をスタートさせた。

 そのあとは日和山で北廻り船を見たり、栗原甘泉堂の団子をゲットしたり、山居倉庫を歩いたり・・・ 

 昼から秋田県連との会談を終えて、4時過ぎに金浦温泉に入ってから鉾立山荘にチェックイン。

 山荘は満室で、当初個室に私たち二人だけという話だったのに、手違いがあったとかで他のパーティー二人と相部屋にさせられた。通常なら相部屋くらいはなんともないのだが、後から入ってきたパーティーの一人が咳をしたり鼻水をすすったりするので、気が気ではなかった。そんな症状があるなら今のご時勢では登山を中止、あるいは相部屋なら宿泊を遠慮すべきでは? この山荘では検温もないし、チェックが甘い。月山でもコロナ対応が甘いなと感じたが、全体的に緩い管理しかされていない。これは相当気をつけねばと思う。

 翌日は4時起き、5時発。ようやく、登山としては当たり前の出発時間となったので、気楽に登り始める。ただし、雨雲通過があるのがわかっていたので、最初から雨具着用。今回は下山の最後近くなるまで雨具を脱ぐこともなかった。

 暗いうちから歩き始めたので、登山者の姿もまばらで、七五三掛から外輪山ルートで七高山経由で新山へ。岩の新山を一周して小屋周辺に降りると10時30分で、しばらくのんびり行動食を食べてから、登山者が続々と登ってくる千蛇谷ルートを鳥海湖へと下山。途中で東京の某山岳会パーティーとすれ違う。時刻は11時半。これから頂上を踏んで、反対側に降りるらしい。朝は7時ごろに鉾立をでてきたらしく、のんびりハイクらしいが、それにしても遅くないか? 私たちが鉾立を5時に出ました、というと、「早いですね」と言う。えっ、5時って早くないでしょ。ふつうでしょ。私たちが早いわけではなく、みなさんがあまりに朝遅すぎるのだと思う。

 事故報告を見ていると、日帰りハイキングの出発が家を出るのが朝7時、登山口10時、行程8時間などという計画を見ると疑問符だらけになる。公共交通機関でそれしか便がないというならまだわかるが、レンタカーを借りて朝8時発、などという計画は正気の沙汰とは思えない。公共交通機関なら始発利用か前夜発、昔の人はステーションビバークなんかもやったらしいが、今でも車中泊や夜行バス、タクシー利用など、いくらでも手段はある。まして、登山口の山荘に宿泊しておいて朝7時発というのは山岳会としていかがなものか。遅くなれば危険も増すし、非常時に救助が間に合わない。事故は絶対に起こさないならいいのだが、そうとは言いきれないのだから、どんなに経験があっても危険要素はできるだけ排除すべきだし、慣れていない山や遠征して初めて登る山なら出発を早くするというのは基本中の基本。月山の参篭所でも、相方が予約を入れようとした際、「8時半のバスで登山口まで行って、月山往復は可能ですよね」と聞いたのだそうだ。そうしたら当然ながら「どのくらい登山経験がおありですか、経験のない人だと明るいうちに降りてこられないこともありますよ」と注意されたという。相手は私たちの経験なんか知る由もないから、至極当然の反応だと思うし、まっとうな注意だと思う。8時半のバスというのはちょっと心配になる時間だから。もっとも一般登山道で、百名山となると道には迷いようがないのも事実だが・・・

 さて、のんびり下山を続けて、登りとは異なるルートを取り、鳥海湖のほとりでゆっくりおやつタイムを満喫して、大平山荘のある吹浦口へと下山する。道中、花の時期にきたらさぞかしキレイだろうと思わせる草原や湿原が広がっていた。最後の急坂を降りきって車道に出たのが14時15分。なんとか15時前に行動終了。

 国民宿舎大平山荘は2食付きでゆったりと宿泊できた。

 最終日は帰京するだけなので、ゆっくりチェックアウトして、ところどころでトイレ休憩しながら19時前に帰宅。

 久しぶりのハイキング山行をゆったりのんびり満喫した。