ようやく高気圧が安定し、夕立の危険がなくなったので、瑞牆頂上に続くトムソーヤーの大冒険という5〜8ピッチのルートを登った。
5〜8ピッチというのは、パーティーの力量により、ロープ確保の必要なピッチ数が異なるから。
私たちは正味4ピッチほど。
取り付きまで約2時間。登山道がかなり濡れていて、前日、前々日の夕立が激しかったことを知らせている。かなりの雨雲だったから、今日まで待って大正解。
登攀が約3時間半、下山が約1時間半、途中休憩と装備装着などが合計1時間の総計8時間。
8時に瑞牆を登り始めて、4時下山。
歩きの遅い私たちとしてはまあまあのタイム。
終始快晴で気持ちの良い登攀となった。帰りに増富の温泉でさっぱり。
このルートは最初に出てくる洞窟登りが特徴。ヘッデンをつけないとスタンスやホールドが見えない。しかもチムニーのワイド登り。あとは木登りルートが多く、すっきりしたクラックは1ピッチあるだけ。まさに大冒険・・・?
瑞牆は百名山なのでいつもハイカーが多い。
ハイカーのみなさんは一般的に歩き方があまりお上手ではない。足の置き方とかではなく、たいていのハイカーはペース配分がめちゃくちゃなので、心臓に負担がかかりすぎる。歩き方くらいはどこかで教えないと・・・山での突然死も増えているし。特に問題なのは突然死の多い還暦過ぎた男性。よほど人に負けたくないのか、後から近づく人がいると、慌ててスピードをあげたり、歩き始めが異様なハイスピードだったりする。自分にとっての楽なペースを見つけて淡々と歩き続ければいいだけなのだが、いつも競争しようとするのは下界の悪癖だと思う。おまけに、こういう人たちは歩き方を教えても学ばない。歩き方ばかりでなく、なにを教えても学ばない。まずは教えられた通りにやってみて、原理を理解してからアレンジするということをしない。いきなり自分のやり方に走る。ハイキングならまだしも、アルパイン技術でこれをやると確実に死んでしまう。
なんでもそうだが、一人前になるのに1万時間は必要と言われている。
ハイキングに1万時間は必要ないかもしれないが、アルパインクライミングはまさに1万時間必要な活動だ。
年間の休みを全て山に入ると約120日、1日9時間として約10年かけるとモノになってくる。特に道具を使用する場合はこの時間はなかなか短縮できない。アルパイン中心の他会では、毎週単独でも山に行っていないと、何やってるの、と言われてしまい、計画参加させてもらえない、と言う。
さて、関西からの参加者は後半バテてしまい、もう一本考えていたハイピークルートという人工登攀の入門ルートは次回までお預けとなった。
私たちは1週間に4本くらいはまだまだこなせるのだが、やはりアルパインクライミングに慣れていない初心者にはキツいらしい。とはいえ、ハイキング経験なら20年以上の人なので、登山の初心者というわけではなく、地図も読めるし、テント泊縦走なら問題ない。
今回は普段の私たちなら登らないような初心者向けルートばかり選択し、ハイピークルート以外の3本は初見だったが、サクサクこなせたので、初心者とはいえ、参加者の力量も大切な要因である。今回の参加者はギリギリパンプ2で5.9を登れるくらいのクライミング力なので、やはり登攀力の目安も必要となる。