自主練第二弾ーージムトレ

 パンプ2が解禁になったのでジムトレ。

 当会ではパンプ2の全ての10Aリード(RPでOK)が最低限の登攀レベルなので、せっせとジムに通う。もっとも2ヶ月休んでいても、流石に10AだとOSできますが・・・

 (ちなみにぶ○の会では、先輩が新人に「11台は最低登れないと連れて行けないから」と宣告していた。ウチはアマイ方です。)

 ルートも新しくなっていてOSし放題。しかし、腕はパンプしないのだが、なんと手のひらの皮が薄くなっていて、タコも消えてしまっており、新しいホールドだとこれまでは滑らなくて嬉しかったのに、ザラザラして痛いのなんの。ホールドを握れなくなって終了するなんて10年ぶりくらいかな。ホールドを握って皮を厚くしないと・・・

 

 さて、入会者には「アルパインはお金がかかります」と伝えている。

 もともとアルパインでは登攀力、ロープワーク、体力、地図読み力、適性、資金などがすべて揃わないと本チャンには行けない。

 教えられるのはロープワークと地図読みだけで、それ以外は自分で努力しないと身につかない。

 10代、20代の若者なら、日和田あたりは2回目にはどのルートも軽くトップアウトしてしまうし、ジムでも半年も通うと11台を登り出す。

 それ以外の年代の場合、半年ジムに通って目標クリアできないようだと、登攀の適性がない、という判断をせざるを得ない。

 その際はハイキングにしておきましょう。

 だからアルパインを目指すためにジムに通うのは絶対的に必要だから。

 クライミングジムはパンプの場合1回2000円なので週2回月8回16000円、月会費にしたとしても最低14000円はかかる。その他交通費も・・・

 また岩トレは毎週参加できていないとロープワークと岩での登攀力は身につかない。毎週行くつもりでいても、天気の都合で月に3回6日くらいに落ち着く。それを1〜2年続けてようやく最低レベルに到達するかどうかというところ。だから、1ヶ月に1回1日程度のジム通いや岩トレ参加でなんとかなると思っているとしたら、大間違い。だいたい計画された岩トレへの参加頻度が低いと、しばらくすると岩トレへの参加自体を却下する会が大半だ。しかも、毎週のように岩場に通っても、登攀力がつかない人もいる。しかも今はwith Coronaの情勢で、山岳四団体による山行人数制限要請があるので参加できる条件や人数にも限りがある。

 一方、どのアルパイン系山岳会でも、まったく岩トレに参加しないのに本チャン計画だけ参加したいと言っても即座に却下される。

 外の岩トレにはジム費用が発生しないが、それでもそこそこ費用がかかる。

 当会では瑞牆・小川山・湯川あたりがホームゲレンデなので、だいたい1回につき食費・酒代と交通費でどんなに下道を走って節約しても10000円くらいにはなってしまう。最低でも活動に毎月3万円くらいはみておかないと十分な訓練に参加できない。レンタカーの人はプラスしてレンタカー代などがかかる。JFAでも「乗り合わせ」は自粛、とされているので、with Coronaの状態では、致し方ない。岩場も近いところは混雑必至。ちなみに湯河原幕岩は雨の日のクライミングジム並みに混雑する。ジムは人数制限をしているので、そこまでは混雑しないのだが、外の岩場は人数制限がないので人が殺到する。当会では当面幕岩を計画できない。

 ざっとまとめると、ジム費用とトレーニング費用だけで4〜5万は最低かかる。

 その他、道具代、共同装備代、宿泊費、etc.

 他の活動特に遊びと両立するのは不可能とは言わないが、相当厳しい。

 おまけに時間もかかる。週二回のジム通いと毎週末の岩トレ。その他体力作りに走ったり、腹筋したり。

 けっこう大変な遊びかもしれない。でもゴルフよりはマシかな。ゴルフはしたことないけど・・・

 もともとアルパインクライミングはやってみたいからといって誰にでもできる活動ではなかったのだが、コロナにより、こんなふうに本気度が試されることになろうとは夢にも考えなかった。

 ま、とりあえず、パンプの10Aルート(7〜8本ある)すべてをリードでRPを目指しましょう(できれば半年以内に・・・せめて1年以内に)。

 ただ日和田クライマーで満足できるのであれば、そういう方向もある。日和田でトップロープを張れるようにはなったが、日和田にしか行けない(本チャンには行けない)という人たちもたくさんいる。1ヶ月に1日程度トップロープで遊んでおしまい、というパターンを見たはず。それはそれでいいのではないか。

 アルパインは「ふつうの活動」ではないので、どこかで突破しなければならないラインが存在するのだが、まずは回数が確保できないと突破すべきラインすら見えてこない。その回数にしても1ヶ月に1日だと10年かかるかまるっきりモノにならないか、これも個人差が大きい。じゃ、2日なら半分で済むかといえば、やはり1日と同じことになる。ある程度の回数を1, 2年の間に大量投入できないと、永遠にモノにならない。場合によっては大量投入してもモノにならない。そしてモノにならないケースの方が圧倒的に多い。モノになるのは100人のうち一人程度、という効率の悪さがアルパインの世界の特徴だ。コロナによって条件が厳しくなったので、この効率の悪さに拍車がかかっている。しかも、登攀のトレーニングは一人では困難なので、パートナーが必要となる。人間関係が円満に築けない場合はアルパインはほぼ無理、というのが実情だ。何年もかかっているうちに指導者がいなくなる、ということもよくある。アルパインは危険なので、死んでしまうかもしれないし、単に指導側の気持ちが続かなくなることもある。だから、相手が教える気になっているときに集中的に技術を学び取らないと、もうあとがない。後悔先に立たず。

 だから、一回いってみたいだけの人、こんなに費用がかかるとは思わなかった人などは、逆に数ヶ月貯金して、一度ガイド山行に投資してみるといい。北岳バットレスで5万円(交通費別)くらいから計画があると思う。ちなみに去年のアイガーだと一泊二日の計画が20万円(小屋代別途でガイドの分も持つ)だと聞いた。ただし、初めてのガイドとなると向こうもクライアントの体力技術を確認する必要があるため、そのための山行とガイド代がかかるので、別途5万円は見込んでおいた方がいい。(アイガーの場合、別途最低10万円はかかると聞いた。しかも時間切れやクライアントがバテたりして下山してもガイド代は払わなくてはならない。)

 また、ガイドによっては年齢制限を設けている場合もある。マンツーマンなら制限はないはずだが、日本の場合、悪徳ガイドもいるから、依頼者が登れそうにないのがわかっているのに依頼計画を受けて、途中で「これ以上は危険だからやめましょう」などということもよくある。(そういう場面にはしょっちゅう遭遇する。)クライアントは一度行ってみたかっただけだから、「危険です」と言われれば諦める。うまくすれば、そのクライアントはもう一度挑戦したいと言ってくるかもしれない。悪徳ガイドは、そのクライアントに元から体力・登攀力がないことをわかっていてまた引き受けてガイド代をせしめるだけ。以前、小同心クラック(もちろん冬ね)で、九州から夜行バスではるばるやってきてガイド山行に参加したのに、「状態が悪いからやめましょう」と言われている若者がいた。私たちはそのとき登ったので、そんなに状態が悪いとは思わなかったし、クライアントの若者に体力技術がないとも思えなかったが、ガイド判断で中止である。九州の人なので事前山行もできず、いきなり参加したらしいが、それは無謀でもある。冬壁のみならずアルパイン計画に事前山行なしで引き受けるのはたいてい悪徳ガイドだ。登れなくても山行に入っていればガイド代は払わなければならない。そのガイドはもともと登らせる気なんかなかったとしか思えないが、ガイドが「いや、あのときあの人には無理だったんです」と言い張れば、証明はできないので泣き寝入りである。つまりガイド本人が悪徳商法を自供しなければ裏は取れない仕組みだ。ガイドとしては九州の人が何度も自分の計画に参加してくれる見込みがない、つまりリピーターになる見込みがないから、手抜きをしただけであろう。さすがにヨーロッパのガイドはそんなことをすればすぐに悪評が立つし、ガイド協会に持ち込まれると絞りあげられて資格停止になるから、絶対に変なことはしない、のだそうだ。

 九州の若者はアイスアックスやアイス用のアイゼン、ロープなど、道具もきちんと揃えてやる気満々だったので、その後、アイスキャンディーのトップロープで遊んでいた。彼がこのガイド山行のためにどのくらい努力してきたのかよくわかるので、本当に気の毒だった。東京近郊の子なら、私たちが面倒みるのに、とすら思った・・・ただし、私たちもトレーニング山行なしに本チャンには同行させられない。

 そんなガイドに引っかからずに、うまく登れれば、一見のために10万円程度で済む計算となる。その後でその活動を自分でできるようになるために、時間と資金の両面からどの程度の投資ができるのか天秤にかけてみるといい。山岳会ならバットレス5万円が無料になる、と単純に考えていたら、それは大きな間違いですので・・・