小川山クライミング

 報告が少し遅くなったが、連休から5月末にかけて、何度か小川山に通い、マルチピッチのトレーニングをした。新人はなんども同じ操作をして、フォローとして登る際にしなければならないことを体に叩き込む。もちろん、なぜ、なんのために、今この操作をしているのか、この器具の役目と機能の仕組みはどうなっているのか、理屈も考えてもらい、適宜、質疑応答を交え、理解を深める。登ることも大切だが、クライミングシステムの理屈がわかっていなければ、応用もできない。応用ができなければ、なにが起こるかわからないアルパインルートには行けないからだ。当会のアルパインでは、攻めるクライミングではなく、守るクライミング、安全に留意したクライミングを心がけている。

 特に、セレクションの最後の2ピッチを省略してしまうパーティー、南稜レモンのクラックをまいてしまうパーティーが多いが、当会ではトラッド技術を駆使し、正攻法で登りきる。プロテクション技術もふだんからトレーニングに加えているため、海外のトラッドマルチにもチャレンジできる力が身につく。クラックに挑戦したい、アルパイン技術を高めたいと考えるなら、地道な練習が必要だ。

 また、当会では、一般登山経験が十分でなくアルパインクライミングには時期尚早と判断された新人は、指定された期間最低月2回のテント泊山行をこなさなければ、クライミングトレーニングへの参加が認められないが、個々の体力、山行経験によって判断するので、アルパインを始めたい場合は個別に相談していただきたい。